IHIエアロスペース、ニプロと共同で、宇宙での利用を想定した点滴装置の試作品を開発した。微小重力で電気がない宇宙でも輸液を体内に注入できると見込む。切削工具大手のOSGに協力を依頼し、3Dプリンターで積層造形した。点滴装置は重力により輸液を落下させる。試作品ではバネかゴムを使い、輸液を引っ張り、注入する方式を編み出した。性能実証や製品化など詳細は今後詰める。
今後も連携先を増やし、試作品の改良を視野に入れる。交流がある東京慈恵会医科大学の瀧澤玲央外科学講座血管学科助教や、国際医療福祉大学成田病院の黒住献医学博士に評価や改良点などの意見を求める予定だ。
現状は健康優良な宇宙飛行士が宇宙に滞在するため、医療問題は少ない。宇宙旅行サービスが将来普及すれば、健康に不安のある個人が宇宙に行くケースも生じ、点滴装置の需要があるとみる。地上でも災害時や南極など特殊環境で活用できると見込む。