
Astraporta株式会社 代表取締役CEOの稲波紀明は、2026年度 人工知能学会全国大会(JSAI2026)にて、「宇宙から地球を見ることで、人類の争いや紛争は減るのか」というテーマについて研究発表を行いました。
今回の発表では、宇宙飛行士や民間宇宙旅行者が語ってきた「宇宙から地球を見る視点」が、人類の対立や紛争の緩和につながる可能性について、AIを用いたシミュレーションによって検証しました。
研究テーマ:人類が宇宙から地球を見れば、争いは減るのか
宇宙から地球を見ると、国境は見えません。
地球は、薄い大気に包まれた一つの美しい星として見えます。
宇宙飛行士たちは、この体験を通じて「人類は一つの地球に共に生きている」という強い感覚を持つようになると語ってきました。この認知の変化は、オーバービュー・エフェクトと呼ばれています。
本研究では、このオーバービュー・エフェクトをもとに、次のような問いを立てました。
もし人類が宇宙から地球を見たら、争いや紛争は減るのか。
これは、宇宙開発や宇宙旅行を単なる夢や冒険として捉えるのではなく、人類の平和に貢献する可能性があるものとして捉え直す研究です。
AIを使って、人類の対立をシミュレーション
現実の世界で、戦争や国家間の対立を実験することはできません。
そこで本研究では、人間のように立場や価値観を持って会話するAIエージェントを使い、人類社会の対立をシミュレーションしました。
実験では、異なる価値観や立場を持つAIエージェント同士に、資源配分や政策判断など、対立が起こりやすいテーマについて話し合いをさせました。
そのうえで、AIエージェントに、宇宙から地球を見たときのような視点を与えました。
具体的には、以下のような視点です。
・宇宙から見ると、地球には国境が見えない
・人類は同じ地球に生きる仲間である
・地球は薄い大気に守られた、かけがえのない星である
・対立する相手も、同じ地球を守る仲間である
・勝ち負けではなく、地球全体の未来を考えることが重要である
このような「宇宙視点」を与えた場合、対話や対立の進み方がどのように変化するかを比較しました。
宇宙視点を持つと、人類の対立が減少することを確認
シミュレーションの結果、宇宙視点を持たない場合に比べて、宇宙視点を共有した場合には、人類の対立が減少する可能性が確認されました。
特に、双方が宇宙視点を共有したケースでは、対話が破綻する割合が約半分に低下しました。
また、攻撃的な発言、相手を非難する表現、ゼロサム的な発想も減少する傾向が見られました。
つまり、AIシミュレーション上では、宇宙から地球を見るような視点を持つことで、人類の争いや対立が減少し、話し合いが続きやすくなる可能性が示されました。
宇宙に行くことは、平和につながる可能性がある
今回の研究で示された重要なポイントは、宇宙に行くことが、単なる特別な体験にとどまらないということです。
宇宙から地球を見ることで、人は「自分の国」「相手の国」「敵」「味方」という枠を超えて、同じ地球に生きる仲間として物事を見られるようになる可能性があります。
争いや対立は、多くの場合、「自分たち」と「相手側」を分けて考えるところから生まれます。
しかし、宇宙から地球を見る視点を持つと、地球全体を一つの共同体として捉えることができます。
その結果、
「相手に勝つ」ことよりも、
「同じ地球をどう守るか」
「人類全体としてどう共存するか」
という考え方に変わる可能性があります。
本研究では、この可能性をAIシミュレーションによって実証的に示しました。
Astraportaからの提言
Astraportaは、今の時代において、宇宙に行くことは単なる夢や冒険ではなく、人類の平和につながる新しい手段になり得ると考えています。
より多くの人が宇宙へ行き、地球を外側から見る。
そして、宇宙に行くことが難しい人々にも、VR、教育、AI、映像、メディアを通じて、宇宙から地球を見る視点を届ける。
その先に、人類が互いを敵ではなく、同じ地球に生きる仲間として捉え直す未来があると考えています。
宇宙開発は、探査や技術開発だけではありません。
それは、人類の意識を変え、争いを減らし、世界を平和に近づけるための平和インフラにもなり得ます。
Astraportaは今後も、宇宙ビジネス、AI、教育、文化的アーカイブ事業を通じて、宇宙を誰もが参加できる舞台にし、宇宙から地球を見る視点を社会へ広げてまいります。

発表情報
発表者:稲波紀明
所属:Astraporta株式会社
学会名:2026年度 人工知能学会全国大会(JSAI2026)
発表テーマ:Can Space-Perspective Priming Mitigate Conflict Between AI Agents?
発表内容:宇宙から地球を見る視点が、人類の争いや紛争の削減につながる可能性について、AIシミュレーションを用いて検証
2026年度 人工知能学会全国大会(40回大会)講演